はじめに

ドラムに長く親しんでいる方ならご自身に合った練習法を見つけ、実践されていることと思います。この記事ではドラムを初めて間もない方や今の練習方法で満足いく効果を得られていない方、何か良い方法はないかお探しの方にとって参考になればと思い、私が実践している方法をご紹介します。

目次

  1. フレーズやリズムパターンを分析する
  2. 練習して覚える
  3. 自分のメッセージとして発信する
  4. まとめ

1.フレーズやリズムパターンを分析する

初めて取り組むフレーズやリズムパターンは、各楽器のコンビネーションや手順といったものが既に慣れているものであればすぐに表現できたりするのですが、そうでない場合いきなり実演しようとしてもなかなか歯が立たないものです。

こういう時はまず、譜面がある場合はそれを参照し、頭の中にある音やイメージの場合はいったんそれを書き出すことからスタートします。そして、

  • 基礎となる音の長さの単位は何か(subdivision)
  • 規則的なパターンの繰り返しはあるか(ostinato) 、 それは既にできるものか
  • 不規則なパターンがあるか(melody) 、それはすぐに出来そうか
  • 最も目立つパートはどれか(symbolic part)

上記ようなポイントを確認したうえで、何から、どのように練習していくか、あるいはどこかを省略したり簡易化するかといったことを検討します。

2.練習して覚える

1の項で確認した例の中で、規則的なパターンがあればそこから定着させていき、そのパターンの上で不規則なパターンを演奏できるように練習します。上の画像のパターンではライドシンバル、バスドラム、フットハイハットが同じパターンの繰り返しですので、このリズムパターン上でスネア・タム類を演奏できるようにしていきます。

この時、各楽器の音を擬音化して口に出して歌うこともおすすめです。ライドシンバルならティキティキティキティキ、バスドラムとハイハットはドンチトドンチト、スネア・タム類はブンパ・ボンブン・チー、ボンボン、といった感じです。一つのパートができるようになったらそのパートを演奏しながらその他のパートを口に出して歌い、慣れてきたらそれに合わせて手足を動かしていきましょう。

フレーズ・パターン全体がある程度できるようになってきたら、メトロノームに合わせて練習します。上の項で確認した基本的な音の長さの単位(音価)もしくは一番短い音価でメトロノームを発音させてゆっくりなスピードで正確に演奏することから始めます。

画像のリズムパターンのような16分音符を基調としたリズムの場合はまず16分音符でメトロノームを鳴らし、合わせられるようになったら8分音符、4分音符と音数を減らしていき、なるだけ少ないガイドで演奏できるように練習していきます。

これにより、実際に演奏する細かいリズムと、より大きなリズムの感覚を同居させる感覚が養われることで演奏の安定感が増すばかりでなく、音楽がより立体的になり、共演者や音源の発しているリズムも捉えやすくなります。

3.自分のメッセージとして発信する

2の段階まで進めば練習中のフレーズ、パターンはある程度身につきつつあるのではと思います。ここでもう一段階トレーニングの難度を上げてより柔軟で、安定した状態に仕上げていきましょう。

ここで行うのは、先ほどリズムのガイド役を担っていたメトロノームの役割を口で行うというものです。

16分音符なら1、i(イ)、&(エン)、da(ダ)、2~とカウントします。

8分音符は1、&、2、&~、8分音符の3連符なら1、ti(ティ)、ta(タ)です。

メトロノームに合わせて演奏するよりグッと脳にかかる負荷が増えるのではないかと思います。それと同時に自身の演奏しているフレーズがあたかも他人が演奏しているかのように聞こえてくる瞬間もあるかもしれません。

この状態で演奏できるようになることは演奏中に自分の演奏だけで手いっぱいにならず、共演者や音源の音を逐次把握し、反応できる余裕を与えてくれます。免許取りたてのドライバーさんがやがて運転に慣れて鼻歌を歌ったり同乗者と楽しく会話できるようになるのと似ていて、演奏という行為に必要な処理能力が習熟により次第に少なくなっていくのです。

この口によるカウントを4分音符まで減らして演奏できるようになるまで練習します。そこまでできるようになれば新しいフレーズやリズムパターンは皆さんの声やキメ台詞の一つとなり、ほぼ実戦で使えるレベルになっていることでしょう。

楽曲の雰囲気や場面を尊重することが何よりですが、応用できるチャンスがあれば積極的にアウトプットして、腕に磨きをかけていってください。

まとめ

  • 新しく覚えるフレーズやリズムパターンを書き出すなどして分析、理解する
  • フレーズや、リズムパターン中のパートを擬音化して歌い、メロディやタイミングを覚える。これに合わせて手足も動かす。
  • メトロノームの役割を口で行い、カウントしながらフレーズ、リズムパターンを演奏できるように練習する
  • 実戦でトライ&エラーを繰り返し、適材適所で思い通りに使える技術に昇華させる

以上、新しいフレーズやパターンの習得法についてご紹介させていただきました。何か新しい発見やお役に立つ部分がありましたらとてもうれしく思います。