曲が速くて手が追い付かない、一時的に合わせられるけれど疲れたり筋肉が痛くなって長く続けられない。

好きな曲を演奏したくてもこんな状態ではキツイばかりで楽しくありませんよね。もしかしたらダウンアップ奏法を覚えることで改善できるかもしれません。よかったらこの記事を読んで実践してみてください。

ダウンアップ奏法とは

スティックを楽器にヒットさせると、その衝撃によって打面(ヘッド)やシンバルが振動し音が鳴ります。この一連の動きをストロークと呼び、これは更に

  • ダウンストローク
  • タップストローク
  • アップストローク
  • フルストローク

以上の4つに大別されます。ダウンアップ奏法はその名の通りダウンストローク、アップストロークを交互に繰り返す奏法となります。

ストロークのおさらい

ダウンストロークはスティックを振り上げ、高い位置から落とします。打った後スティックが反動で上に戻ってきたところを低い位置でキャッチして止めます。

アップストロークはスティックを振り上げる際に手首を気持ち下に曲げ、スティックのチップ(先端)が打面に軽く触れるように打ちます。振り上げざまに当てる、当てながら振り上げるという感覚です。

腕を振り上げて降ろす動作1回、発音は2回

テンポの速い連続した8分音符を演奏しようとする時、ダウンアップ奏法をご存知でない初心者の方は全ての8分音符をダウンストロークやフルストロークで処理しようと試みる場合が多いことでしょう。上達してくると、サウンドや音量、見た目を意識して敢えてこうする場面も考えられますが、ドラムを演奏する際の身体の動きに慣れていない初心者の方にとってはスピードが出しにくかったり筋肉が疲れて長い間続けることができないといった現象の原因となる可能性があります。

ダウンアップ奏法は1打目をダウンストロークで叩き、その次のダウンストロークに移る前の、腕を振り上げる瞬間に1打を加えることによって素早く効率的なスティッキングを可能にします。まさに一挙両得、一石二鳥のテクニックと言えるでしょう。

ダウンアップ奏法のコツ

連続した8分音符のハイハットを演奏する感覚を養うための練習方法をご紹介します。

まずは4分音符をダウンストロークで演奏します。そして、それらの隙間を埋めるようにアップストロークを挟み込んでいきます。

最初から連続させるのではなく、上の画像のように1&2の3打から始め、1&2&3の5打、1&2&3&4の7打と少しずつ連続して処理できる音符の数を増やしていき、最終的に連続してできるように練習していかれることをお勧めします。演奏したい曲があればその曲のテンポに合わせてこれを行っていけば実際の演奏に直結する効率の良い練習となるでしょう。

バスドラムやスネアとのコンビネーション

ダウンアップの間隔がつかめてきたら他の楽器とのコンビネーション練習に移りましょう。演奏したい曲のパターンや、教本の譜例を参考にしたり、ご自身でパターンを作ってみるのも良い練習になります。

裏拍にスネアやバスドラムが入ってくると、はじめのうちはハイハットのダウンアップと同時進行させるのが難しく感じるかもしれません。こういう場合は譜面のハイハットのところに⇩⇧の注意書きをするなどして、複数の楽器を同時に演奏する際の身体の動きを確認してみると頭の中が整理され、混乱を解消できるでしょう。

ハイハットを意識の外へ、半自動化する

ハイハットとそれ以外の楽器とのコンビネーションに慣れてきたら譜面からハイハットを抜いてしまいましょう。譜面からは消えますが演奏時はハイハットもしっかりダウンアップで演奏します。このとき意識はバスドラムとスネアなどハイハット以外の楽器の発音位置に向けます。スネアも2拍4拍でだけならばこれも無意識化してしまうことでバスドラムの位置だけに注意していれば良いということになり、頭の中がかなりシンプルになるはずです。

こうすることでハイハットの一つ一つ、ダウンだ、アップだなど逐一考える必要がなくなるため自分が演奏している楽器の音色、タイミング、そして曲の進行や共演者の音に気を配る余裕が生まれます。本番の演奏時までにはこの状態に仕上げておきたいですね。

終わりに

ダウンアップ奏法を覚え、活用することができるとスピードアップ、持久力アップ(省エネ)の効果が期待できます。また、ダウンストロークとアップストロークによる音色の違いによってリズムに抑揚を与えることができる他、ハイハットのオープン・クローズを覚える際にも動作が似ているため、ダウンアップができていると感覚をつかみやすいのではないかと考えます。

是非ダウンアップ奏法をマスターして演奏にお役立てください。この記事が皆様のご参考になりましたらとてもうれしく思います。